あなたがわたしにくれたもの
人と妖、
互いの存在は相手の生命を奪う事で拠所となる。
昨日幸福な笑顔を見せていた人間は、その夜妖怪によって肉塊に変わる事も日常茶飯事であった。
そうして彼彼女の仇を取る為に、人間は妖怪を滅ぼす。
幻想郷はそうした、摂理によって支配されていた。
彼、森近霖之助は半人半妖である。
妖怪ほどの力を持たず、また人を喰らう事を最上としない彼は、人間の立場にて暮らしていた。
彼もまた、奪われる側であり、それに抗う物であった。
人との営みの中で、今日も夜が降りてくる。そして彼は、人の身で在りながら妖怪さながらに人を斬る、少女に出会った。
青年が語るは、時代に生きた、復讐を胸に抱き前に進んだある少女の物語。
あなたがわたしにくれたもの
presented by
  夢茶 × 掌くるみ